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KCPC設立式開催報告 #1

更新日:6月10日

2022年2月18日(金)、知識創造プリンシプルコンソーシアム(以下、KCPC)の設立式を開催した。約60名の日本を代表する経営者の方々に、オンラインの「対話の場」にお集まりいただいた。


KCPCは、「日本の経営を未来創造型へシフトさせていこう」という想いのもと、昨年11月に設立された一般社団法人だ。効率性の追求一辺倒なこれまでの経営から、社会的価値の創出と創造性を中心に据えた「人間中心の経営」へとシフトさせていく必要があり、その実現のためには、経営のプリンシプル(原則)を入れ替えなければならない、とKCPCは考えている。


KCPCのアドバイザリーボードには、野中郁次郎一橋大学名誉教授をはじめ、グローバルな知識学派の方々、11名が顔をそろえる。


設立式では、まず、日本のアドバイザーである荻野弘之先生(上智大学哲学科教授)と、露木恵美子先生(中央大学ビジネススクール研究科長、教授)にご講演いただいたあと、お集まりいただいた経営者の皆さんとの意見交換と対話の場を設けた。


この設立式の内容を全3回にわたってお届けする。


【1-1】経営者の方々との対話の場


KCPC共同代表の荻原直紀氏からの謝辞により幕を開けた設立式。

式の冒頭、経営者の方々に、6つの選択肢の中から「最もご自身の課題意識に近いもの」を直感的に選択していただいた。選択肢は以下のとおりである。


  1. 未来の機会や事業を考える余地・余白がない

  2. 自社の社会性や目的が社員と共有されていない

  3. 新たなコトを起こす場や機会が少ない

  4. 組織が能動的でない、主体的な判断と実行が少ない

  5. 社員が燃えていない、エンゲージメントが低い

  6. 外部との共創が起こせない


結果は「4.組織が能動的でない、主体的な判断と実行が少ない」が38%と最も高かった。


実は、これらの課題は、KCPCが提起する「人間中心の経営」を成り立たせる6つの要素(6P)にひもづけられている。


  1. Perspective :20世紀とは異なる「視点」

  2. Puepose :創造を駆動する「目的」

  3. Place :「場」からなる組織

  4. Prudence :「賢慮」に基づくリーダーシップ

  5. Passion :人間の感情、主観の復権「共感」

  6. Partnership :共創のための「協力」

知識創造プリンシプルを構成する6つのP
知識創造プリンシプルを構成する6つのP © KCPC All Rights Reserved.


最も多くの経営者が選択した課題は4。「Prudence(賢慮)」の課題であった。


偶然にもこの「賢慮」は、その後の荻野先生の講演テーマと重なるものであり、荻野先生は「Prudence(賢慮)」とは何かについて、経営の文脈に沿ってわかりやすくご説明くださった。※次回記事にて紹介予定



続いて露木先生より、組織変革を成功に導くための実践的なヒントをいただいた後、参加者全員にグループに分かれてもらい、短時間ながらも少人数での対話の場を持った。


経営者の方々が、業界を超えて集まり、ともに課題意識を語り合う機会は、多くないだろう。多少強引な場の設定に戸惑われた方もいらしただろうが、オンラインにも関わらずすべてのグループにおいてたいへん闊達な意見交換が行われた。以下のその内容を少しご紹介したい。

  • PassionとPrudenceの課題は似ている。仕事がうまく行った時は、楽しんでいる時。危機感を煽ることのみでドライブするのではなく、楽しむことも同時に伝えてくことが大事。

  • 歴史的な企業ではとくに、組織が閉じてコンフォートゾーンに入ってしまっている。Passionのなさが原因となり、能動性が生まれない。Purposeを決めて、Place(場)をつくることで、はじめて火をつけられるのでは。その際、経営者が個々人に働きかけないといけないが、コロナ下ではそれも難しい。

  • 経営者は「組織の能動性」に課題意識があり、社員は「自分たちのPassion」に課題意識を持っている。個性を開放していかなければならない。

  • 外部との共創が起こせない(Partnership)。違う視点を受け入れ、組み合わせて、新しいコトをおこしていく必要性への課題意識がある。

  • 変革を進めていく上で納得感を高めるには、成功体験が必要。スタート時は、経営者が強くいって、お墨付きを与えるのも大事。

  • 心理的安全性を確保できなければ、行動は起きない。こういう行動をすると称賛される、という仕組みとシステムをつくることが大事。


対話を受けて、KCPC理事の紺野登氏は、「経営者のみなさんがやりたいと思っていることは、露木先生がおっしゃっていた『生活習慣病』を改善すること(※第三回記事にて紹介よ予定)、つまりダイエットではないか?」と問いかけた。


ダイエットのゴールは、身体が軽くなることで、スピード感をもって自律的にアジャイルに動けるようになることである。今は、手段ばかりを取り入れる表面的な対処療法を続けた結果、多くのルールや過度な管理で組織が重たくなりすぎ動きがとれなくなっている。「プリンシプルを変えるとは、軽くなっていくこと」であり、ダイエットを成功させることが組織に本質的な変化をもたらすカギになると示唆した。



【1-2】参加者の皆さんと「共に進めていきたい未来」


最後に、KCPC共同代表の仙石太郎氏が、コンソーシアムとして「皆さんと共に進めていきたい未来」について語った。


© KCPC All Rights Reserved.

つくるべきモノが明確だった“手段(How)の時代”から、つくるべきモノ・コトが明確ではない“目的(What、 Why)の時代”になった。21世紀の企業の挑戦は、まず「変化を認識」し、そこから「未来を構想」し、その「構想を実現」することに変化してきている。会社独自の価値を闊達に創出し、新しい時代の挑戦を成功に導くには、企てたりしでかしたりする人、つまり「ダイナモ」が必要なのではないか?


© KCPC All Rights Reserved.

「ダイナモ」とは、目的を持ち、自律的、精力的に働く人のことだ。2021年9月に行った調査の結果、以下のことが分かった。

  • ダイナモは、他のワーカーとはまったく異なる基本則を持つ。

  • ダイナモは、組織の15%しか存在しない。(クルーザー:60%、ルーザー:25%)

  • 知識創造プリンシプル実践度が高い組織(全体の10〜20%)には、ダイナモが多く存在する。実践度の低い組織にはダイナモが育たず、ルーザーが増加する。


では、なぜ今、多くの企業でダイナモが少なくなってしまったのか?

もともと少なかったのではなく、ダイナモを活かしてこなかったのではないか?

ダイナモを活かす経営があるのではないか? あるとしたら、それはどのようなものか?


プリンシプルを変えて、新たな時代をつくっている組織の例を見ていくと、「スピード」という共通項が見えてくる。


多くの企業が、スピードが求められる経営環境のなかにありながら、スピードがでない・だせない矛盾を抱えているいっぽうで、スピード感のある経営へとシフトし時代をリードする企業はすでに出てきている。それらの企業の成功は、人間の持つ能力を最大に活用するための経営(人間中心経営)が、新しい経営の成功モデルであることを示している。ダイナモの想いを実現する会社こそが、この「人間中心経営」の一つのモデルになるのではないか、とKCPCは考える。


© KCPC All Rights Reserved.

まだまだ「効率生産性」が経営の柱である企業が多いなか、「知の生産性」を新たな柱へと移行させていくためのカギが、知識創造プリンシプルだ。「これまでよいとされてきたこと(社会、経営、働き方、教育)を、プリンシプル(原理原則)のレベルから見直し、実践するためのオープンな共同研究・支援機関が必要ではないかと考え、KCPCを設立した。」と仙石氏は述べた。


経営者と社員の「卒啄同時」により、経営プリンシプルを変える一歩を踏み出すことが、ダイナモ組織への変革を進めるカギだ。プリンシプル視点から先進企業に学ぶ、グローバルなアドバイザーとの対話の場を持つなど、「研究・学習の場」づくりを進めるとともに、ダイナモを見つけ、組織のダイナモ度を高め、「新しい組織開発のプロトタイプを実践・実証」しながら、皆さまと「共に」進んでいきたいと、KCPCは考えている。


最後に仙石氏は、ピーター・ドラッカーの言葉を紹介。現代に通じるマネジメントの方法論の多くを発明したと称されるドラッカーだが、それは彼がつねに社会的存在としての人間に注目し「人間が幸せであるためには、社会発展の担い手である組織が立派な仕事をしているか、マネジメントがなされているかが重要だと考えていたから」である。もしドラッカーが生きていたら、「未来づくりを可能とする知識創造プリンシプルに軸足を移しなさい」と言ったに違いない。「ぜひ一緒に未来をつくっていきましょう。」と経営者の方々に語りかけた。


設立式を締めくくったのは、KCPC監事の西田治子氏。西田氏の音頭のもと、全員で「より善い会社、社会、未来づくりに向けて、出発進行!」と拳をつきあげ、設立式は幕を閉じた。



近日中に報告#2を公開いたします


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