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KCPC設立式開催報告 #3

2022年2月18日(金)、約60名の日本を代表する経営者の方々にオンライン上の「対話の場」にお集まりいただき、知識創造プリンシプルコンソーシアム(以下、KCPC)の設立式を開催した。


国内外の知識学派11名が顔をそろえるKCPCのアドバイザリーボードからは、荻野弘之先生(上智大学哲学科教授)と、露木恵美子先生(中央大学ビジネススクール研究科長、教授)にその場にご参加いただき、ご講演いただいた。


開催報告最終回の今回は、露木先生のご講演内容を紹介する。


【3】露木恵美子先生(中央大学ビジネススクール研究科長、教授)ご講演

「職場における対話と創造性:失われた身体性と主観を取り戻す」


露木先生は、組織変革の難しさに寄り添いつつ、変革を成功に導くための実践的なヒントを示してくださった。


まず「今こそ、組織文化(身についている価値観や行動様式、思考様式)を変えることが求められている。ただし、それは、生活習慣病を改善するのと同じ。難しく時間がかかることである」と述べられた。


組織を変えるには「組織」と「人」、それぞれの「外面」と「内面」の四象限すべてに取り組む必要がある。


しかし、多くの組織が、「外面」(組織設計や個人の能力開発)を変更しても「内面」には注目せず、組織文化について手つかずだという。



組織文化とは、社屋などの人工物、ビジョンや戦略などの標榜されている価値観といった「目に見えるもの」より、それらを規定する「目に見えないもの(共有された暗黙の仮定)」が大半を占める。日々共有され、言語化が難しく、他社の人と話して初めて気づくことも多い。“自社の常識、他社の非常識”と言われるのは、組織文化が異なるからだ。


身体に染み付いている無意識のものを変えることは難しく、時間がかかる。だから「生活習慣病に似ている」のだ。では、それを変えるにはどうすればいいのか?


生活習慣病をどう克服する?

露木教授からは「まず自分の状況を認識して(変化の動機づけ)、今までの生活様式や考え方を一旦リセットすること(学習棄却)が必要」ということが1つ目のヒントとして提示された。


2つ目のヒントは「『関係性の質を変える』ことから始める」というもので、関連してダニエル・キム(MIT組織学習センター共同創始者)の提唱する「組織の成功循環モデル」を紹介。

出典:ダニエル・キム

現在の組織の多くが、“バッドサイクル”に陥っているのは「結果の質を問う」ことから始める思考の癖のせいである。“グッドサイクル”へと変える鍵は、「関係性の質を変える」ことから始めること、人との関係を少し変え質を高める。そうすると、思考の質が高まり、さらに行動の質が変わり、そして結果の質の向上につながるのだという。


3つ目のヒントは「視点を変えること」である。


普段私たちは、モノゴトを「自分・自社」の視点から見ている。一度その視点を持つと、他の視点から見ることは難しくなる。それが、今日の問題を引き起こしている大きな要因の一つではないか、というのだ。


あらゆる社会科学の土台でもある「現象学」では、ものごとをひっくり返してみることを行う。「視点を少し変えると違うものが見えてくる。見えていると思っていたものが、見えていなかったことに気づく。これが今必要ではないか?」と露木先生は問いかけた。


最後のヒントは「『聴く身体』を持ち、対話をする」ことだ。


私たちは、周りの人の話を真摯に聞けているだろうか?その対話は、自分にとって気持ちのいいことしか聞かない「接待対話」になっていないだろうか?



私たちがコミュニケーションをとる際、その「場」には、言葉によるコミュニケーション(相互主観性)だけでなく、情動的なコミュニケーション(間主観性、感覚のキャッチボール)の両方が必ず存在しているという。


この「感覚のキャッチボール」を行い、真の対話を行うためのカギが、現象学の方法論の一つ、「判断(の一時)停止」。自分の価値観や経験に基づいて考えたことや判断したことを一端カッコ(  )に入れて、それを横に置き、周りの人の話を真摯に聴く態度を持つことが大事である。


創造性は、対話の中から生まれる。


言葉にならない感じていることを、共に言葉にする努力をするのが対話であり、そのためには「無駄(余裕)」や「遊び」が必要だ、と露木先生は締めくくった。


資料:

レジュメ_露木先生_知識創造プリンシプル×職場の現象学(配布資料)
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