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  • 仙石 太郎

ナレッジワーカーの生産性を考える(知識の生産性とは)

更新日:2021年12月24日

知識社会の主役はナレッジワーカー(知識労働者)です。






ピーター・F.ドラッカーの定義によればナレッジワーカーとは「自らの知識によって付加価値を創出し、企業や社会に貢献する労働者」のことです。またドラッカーは「付加価値の源泉は知識であり、21世紀のマネジメントの最大の課題は、知識の生産性を高めることだ」とも述べています。


なぜ彼は、知識の生産性向上がマネジメントの最大課題になると予言できたのでしょうか? フレデリック・テイラーが生み出した科学的管理法のように、時間当りの仕事量を測定し、分業や単純化によって能率向上を図るようなマネジメント手法が、ナレッジワーカーを評価する指標として不十分なことに気付いていたからではないでしょうか?


ナレッジワーカーは、体系的に学んだ知識や、実践を通じて体得した経験(暗黙知)に基づいて、新たな構想を描き、理論による裏付けを行い、試行錯誤を繰り返して成果に結びつけようと行動する知の生産者です。彼らを突き動かすのは合理性だけでありません。共感、欲求、好奇心、貢献、信頼、自己決定といった人間ならではの心理的要素がモチベーションエンジンとなって生産性に違いをもたらすのです。


「知識労働では、恐怖による生産性の向上はありえない。自ら動機をもち、自ら方向を決めるのでなければ、生産的に働くことはできない。」と、ドラッカーは述べています。


また、単独では解決できない困難な問題も、他者とインタラクションすることによって、ブレークスルーを起こすことも珍しくありません。


こうして捉えると、知識の生産性を向上するためのカギは、ナレッジワーカーを管理することではなく、自律性と相互作用を発揮できるように、むしろエンパワーすべきだという結論に至ります。


人間中心の経営とは、こうしたナレッジワーカーの特性を踏まえて、知識創造の最大化に向けたプリンシプル(経営原則)を実践することを意味します。


要点

  • 企業価値の源泉はナレッジワーカー(知識労働者)の生み出す知識である。

  • 科学的管理の研究により、定常作業者や肉体労働者の生産性は大きく向上したが、ナレッジワーカーの生産性向上の決定打は見つかっているとはいえない。

  • 知識の生産性を向上するには、知識源へのアクセス確保が重要なのは言うまでもないが、ナレッジワーカーの動機付け、自律性の担保、多様な知とのインタラクションの奨励など、ヒューマンファクターが極めて大きい。

  • 人間中心の経営とは、知識創造に焦点を当て、ナレッジワーカーの知的生産性向上をサポートするプリンシプルを探求することである。

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